人と上手くコミュニケーションが取れず、仕事でも私生活でも苦しんでいる、所謂コミュ障の人が非常に多いと聞きます。

 かくいう僕もそんな一人で、あまりにも酷い自分のコミュ障を克服したくてセミナーなんかに通っていた時期もありました。

 今回はそんなコミュ障を治す為に通ったセミナーを通して分かったことを書きたいと思います。

「人としておかしい」と言われてセミナーに通うことを決意

 今から5年程前ですが、僕は転職先の建設会社に馴染めず苦労していました。

 上司と上手くコミュニケーションが取れずに失敗を繰り返し、お客さんとトラブルを引き起こしてしまうことも多々あり「お前は全く戦力になってない」「人としておかしい、なにかの病気なんじゃないのか」と完全に腫物扱いで、結局一年程度でクビ同然で会社を辞めてしまいました。

 こんな情けない自分をどんな手を使っても変えたいと思い、僕は思い切ってコミュ障克服の為のセミナーを受講する決意をしました。

 このとき僕が参加したのは、株式会社アイソルートが提供する「コミュトレ」というセミナーでした。

https://commu-training.isoroot.jp/

 コミュトレはビジネスの場でのコミュニケーション能力を鍛えることを目指したプログラムで、ビジネスの場で役立つ人間心理について勉強したり、受講者同士でテーマを決めてロールプレイングを行うことで相手に伝える力を鍛える練習を行ったりしていました。

 人間の精神には不安のない居心地のいい状態であるコンフォートゾーン、少しの緊張が生まれるラーニングゾーン、過度な緊張に苛まれるパニックゾーン(デンジャーゾーンとも言うようですが)の三層があり、コミュトレは適度な緊張を保ちつつ失敗が許される環境の中で試行錯誤を繰り返してコミュ力を高めることを目的にしていました。

出展 wikipedia

 コミュトレの料金は約八十万円とかなり高額でしたが、どんな大金を払ってでもコミュ障を克服したいと思っていた自分はフリーターの身分でしたがコミュトレに通う決心をしたのでした。

セミナーは充実していたが……現実は上手くいかなかった

 意を決して入会したコミュトレは自分にとっては非常に充実した時間に感じられました。

 普段の仕事では出会えないような人達がコミュトレには多く集まっていて、そうした人達と交流することは刺激になりましたし、講義で教わったことをロールプレイングで実践し、講師の方や受講生の人達からいい評価を貰えると凄く嬉しい気持ちになりました。

 コミュトレの中にいるとポジティブな気持ちになることができて、自分が生まれ変わったかのような万能感を得ることができていました。

 ですがコミュトレの外の現実、仕事の場ではあまり上手くやれていたとは言えず、相変わらず僕はうだつの上がらない人間のままでした。

 怖いと思ってしまった先輩や上司の前ではビクビクしてしまい、コミュトレで習った技術も上手く活かすことができず、思っていたことと違う失言をしてしまって相手を怒らせてしまったり「お前なにが言いたいんだ?」と相手をイライラさせてしまうことも少なくありませんでした。

 最初の頃は「コミュ障克服して生まれ変わってやるぜ!」なんてイキっていたものの、結局コミュトレにいるときとそうじゃないときの自分のギャップを上手く埋め合わせすることができず、僕はどんどん苦しくなってしまったのです。

 コミュトレの講義は十カ月程度で終わりましたが、コミュトレを卒業した僕はコミュ力を活かせるような仕事に就くわけでもなく、あまり人と接することもない、工場での派遣のバイトで生活するようになりました。

 派遣のバイトではそれなりに気の合う友人に出会うことはできたものの、相変わらず僕はうだつの上がらないコミュ障のままで、コミュトレの技術がここで活きることはありませんでした。

地元に戻ったらコミュ障なんてレベルじゃないくらいコミュ障が悪化してた

 そうして去年の10月、僕は色々あって北海道の地元に戻り、兄弟の立ち上げた会社で働くことになったのですが……現在の状況はまあ酷いものです。

 言われたことが上手く理解できずに仕事で失敗を繰り返してしまい、その度に上司である兄から怒鳴られまくってる内に、すっかり仕事が怖くなってしまい、コミュニケーション云々以前のレベルになってしまっています。

 特に兄に対する恐怖心が心の芯まで染みついてしまっていて、兄の前ではまともにしゃべることもできず常にどもってしまい、いつ怒られやしないかと挙動もおかしくなり、結果またミスを冒して怒鳴られて余計に仕事や兄に対する恐怖心が深まっていくという悪循環に陥ってしまっています。

 コミュトレで習った技術もこんな状況では活かすことなどできず、コミュトレに通う前とまるで変わっていない、それどころか益々コミュ障が悪化してしまっているとすら感じています。

コミュ障克服に必要なのは技術や知識よりもメンタルだと思った

 結果的にコミュトレに払った80万はほぼ無駄になってしまい、僕は変わることなどできず鬱屈とした毎日を送っています。

 コミュトレの内容に非があったのではなく、通っていても成果を出せる人はキチンと成果を出しているので、これは僕自身の怠慢や努力不足以外の何物でもないでしょう。

 僕は自分のことを「高い金を払ってコミュ障を克服する為にセミナーに通って努力している人間」と自画自賛し、そんな自分に酔っていただけなのではないかと思います。

 コミュトレで覚えたことを活かし、コミュ障を克服するにはコミュトレの外でも継続的な努力が重要だったのに、僕はそうした努力を怠り、逃げ続けた結果、コミュトレで習ったことをなにも活かせず、ただ金も時間も無駄にするような結果に終わってしまったのでしょう。

 そしてコミュ障そうした努力には常にどうしようもない失敗がつきもので、失敗して惨めで情けなくて恥ずかしい思いをして、それでも尚立ち向かい、試行錯誤して変わっていける強いメンタルを持った人だけが、コミュ障という壁を突破できるのでしょう。

 僕には今やコミュ障という壁はあまりにも高くなりすぎてしまい、乗り越えることも絶望的になってしまっていますが、せめてこれ以上退行はしないよう、最低限のメンタルだけはなんとか守っていきたいと思います。

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