出展 人造人間ハカイダー ディレクターズカット版 1995年 東映

 昨年の10月頃、僕は生涯忘れることができないであろう、衝撃的な映画と出会いました。

 今から26年前の1995年に公開された『人造人間ハカイダー』という映画です。

 今回は僕の人生観を現在進行形で揺さぶり続けているこの『人造人間ハカイダー』についてお話したいと思います。

そもそもハカイダーとは 破壊の権化が放ったある言葉

 まず『人造人間ハカイダー』という作品についてですが、この映画は仮面ライダー等の原作でお馴染みの石ノ森章太郎さんが手がけた作品の一つである『人造人間キカイダー』を下地にしています。

出展 人造人間キカイダー 1972年 東映

 ロボットでありながら人間としての心を持って生まれてしまった主人公、キカイダーの活躍と葛藤を描いたこの作品で、キカイダーの前に強敵として立ちはだかるのがハカイダーです。

出展 人造人間キカイダー 1972年 東映

 主役であるキカイダーは右半身が青くて左半身が赤いという強烈なビジュアルですが、ハカイダーも真っ黒なボディに稲妻のように走る黄色いライン、そして頭部にはフードで覆われた脳みそが露出しているという、中々強烈なビジュアルをしています。

 宿敵であるキカイダーを倒す為には自分の所属するダークに背を向けることも辞さないという、悪役でありながら独自の美学も持ち合わせたハカイダーは、そのビジュアルとニヒルなキャラクター故に、強い人気を博していたと聞きます。

 そんなハカイダーを主役に据え、設定を一新して作られたのが『人造人間ハカイダー』という映画で、この作品では『北斗の拳』や『マッドマックス』を彷彿とさせる荒廃した世界で、偽りの正義を掲げて人々を支配しようとするジーザスタウンに、ハカイダーが戦いを挑むという内容です。

 これだけ見るとハカイダーはケンシロウのような救世主にも見えますが、実際は正義感なんてものは微塵もなく、ただジーザスタウン側に理不尽な喧嘩を吹っ掛けられて頭にきたので叩き潰すことにしたという、まるでチンピラのような動機で戦うのです。

 ジーザスタウンの刺客であるミカエルに対し「貴様が正義なら俺は悪でいよう」という宣告をすることからも、そのキャラクター性が伺えます。

 普段は寡黙な人間の青年に擬態しているハカイダーは一度戦闘モードになると名前通りの破壊の権化となり、ヤマハのV-MAXがベースの愛車、ギルティに跨り、手に持った愛銃のハカイダーショットをぶっ放してジーザスタウンを破壊し尽し、立ちはだかる戦闘員達を容赦なくスクラップへと変えていくのですが、ハカイダーの力に恐れおののいた戦闘員が「自分は命令されてやっただけだ」と許しを乞うたとき、ハカイダーは「自分の意思で生きられないのなら、生きていても仕方あるまい」という言葉を突きつけました。

 この言葉は、僕の胸に深々と突き刺さりました。

自分の意思で生きない奴の末路は悲惨

 僕は現在、北海道の実家に戻り、兄弟の建設会社で働いていますが、地元に戻るきっかけは、姉に地元に戻るよう勧められたことでした。

 それまでの僕は地元のことがあまり好きではなかったし、できればもう戻りたくないとすら思っていたので、最初は姉に勧められても断っていましたが「この先10年くらいはコロナで不況が続くし、そっちにいても苦しくなるだけだよ。兄さんの会社で働かせてくれるんなら、そっちの方がいいんじゃない?」という姉の言葉に「まあ、確かに意地張ってこっちにいても仕方ないかなぁ……」と考えるに至り、地元に戻ることを選びました。

 ですが実際に戻ってみると、冬は寒くて辛いし親との実家暮らしは困窮こそしないものの息苦しいし、仕事もキツクて要領よくこなせず毎日失敗ばかりで怒られてばかり、なにも楽しいことがありません。

 声を掛けてくれた姉は悪くないし、雇ってくれている兄弟にも感謝すべきなのでしょうが、正直今となっては毎日のように「戻ってこなきゃよかった」と後悔するばかりです。

 寒さや家族との居づらさが嫌で北海道を出て、過去の経験からもう建設業は自分には向いてないとわかっていた筈なのに、自分の意思を人に言われたからとあっさり曲げ、地元に戻ってしまった結果がこのザマです。

『自分の意思で生きられないなら、生きていても仕方あるまい』というハカイダーの言葉通り、自分の生き方を自分の意思で貫けない奴の末路は、生きていても仕方ないような敗者なのかもしれません。

 貴方は、自分の意思で生きていますか?

 

堂々と自分の生き方を貫ける者になりたい

 『人造人間ハカイダー』は、後に『牙狼』シリーズ等で根強い支持を得る雨宮慶太さんの手腕が光る作品ではありますが、予算や技術の都合で今の目で見るとチープな点も多く、ストーリーも途中で妙な演出が挟まれたりするせいで分かりづらかったり、そもそも主役であるハカイダーもやってることはテロ行為同然なので、あまり感情移入ができなそうなキャラクターだったりと、あまり万人にはお勧めできない作品でもあります。

 ただ、支配者によって都合よく作られた偽りの楽園にノーを突きつけ、何者にも縛られず、自分の意思を貫き通すハカイダーの力強さには、ある種の憧れを抱かずにはいられません。

 上述の通りニッチな作風で人を選ぶことは間違いありませんが、自分の意思で生きているのか不安を感じる方は、ハカイダーの活躍を一度ご覧になってはいかがでしょうか。

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