こんにちは、そして初めての方ははじめまして。
子供の頃から重度のオタクだった僕ですが、紆余曲折を経てオタク趣味に飽きを感じてしまい、現在は半ばオタクから脱落しつつあります(オタクを止めたワケではない)。
オタクから脱落して最も変わったことは、グッズに金を使う機会が大幅に減ったことでしょうか。
オタク趣味には手当たり次第に金を突っこむ重度のオタクだった僕が何故、グッズにお金を使うのを止めたのか、つらつらと書いていこうと思います。
グッズを集めるのには金がかかる
一番最初に身も蓋もない理由を言ってしまうと、お金の問題です。
オタクグッズというのは収集にとにかく金がかかります。
僕の場合、集める対象は女の子のフィギュアや仮面ライダーのフィギュアなどが中心でしたが、フィギュアはグッズの中でも最も金がかかる分野なのではないでしょうか。
僕が高校生の頃なんかは一体五、六千、高くても一万あれば買えたのですが、年々値上がりが続き、今では安くても一体一万円以上が当たり前、造形が凝ったものだと二、三万の世界もザラになってしまいました。

これはDEAD OR ALIVEの霞というキャラクターのフィギュアで左は2004年頃に発売されたもの、左は2019年になってリメイクされたものです。
2004年の時点で約八千円という当時としてはかなりの高額ながら高い人気があったフィギュアなのですが、約15年近くを経てリメイクされると、値段は倍近い一万五千円にまでなっておりました。
造形面では以前のものからアップグレードされていますし、原材料や様々な事情から一概に過去と現在の比較はできないものの、フィギュアの世界はもう自分のような収入の低い人間にはおいそれと手を出せない、お金のある人の娯楽になってしまった感があります。
僕はフィギュア以外のグッズはそこまで熱心には追いかけていなかったのですが、オタクグッズはCDだったり映像ソフトだったりキーホルダーだったりポスターだったりと多岐に渡り、その売り方も店舗やイベント限定だったりバリエーションがやたら多かったりと、集めるのは修羅の道です。
グッズを集めても得られる満足感は最初だけ
そうして修羅の道を突き進みながら僕はグッズ集めに没頭しておりましたが……段々と満足感を得られなくなってしまうようになりました。
グッズを買ったときの嬉しさは買った直後がピークで、後は下がっていくばかりなのです。
初めの頃は「うっひゃーすげー!」と出来の良さに感激したフィギュアであっても、家に置いてあるのが当たり前になり見慣れているとその感動も薄れていき、しばらくすると「あー、あれ欲しいなー」と違うフィギュアに目移りしてしまい、欲望が際限なく加速していくのです。
ただ、買った直後に出来の良さに感激できるならまだマシな方で、これを繰り返しているとどんなフィギュアを買っても「全部同じに見える」という状態に陥ってしまい、それでも惰性でフィギュアを買ってしまうという、まるで依存症のような状態に陥ってしまいます。

どんなに買っても満たされない……この泥沼から抜け出すには、そもそも買うのを止めることしか方法はないのです。
大半のグッズはゴミになってしまうことに気づいた
フィギュアに関しては飽きてもまだ売ってお金にすることができますが、それ以外のグッズはあんまりお金にならない……それどころかゴミ同然になってしまうこともかなり多いです。
CDや本は余程希少じゃなければ二束三文の価値にしかなりませんが、それでもまだマシな方で、缶バッチやキーホルダー、アクリルスタンドみたいな小物系のグッズは、少なくとも僕が集めていた範囲では買い手などつかず、いらなくなれば本当にゴミにしかなりませんでした。
そして僕は一時期好きなアニメの同人誌や同人グッズを買うことにハマっており、イベントに行っては一日で一万円くらい使ってしまうこともザラだったりしたのですが(多分これでも少ない方)、そうして集めた同人誌や同人グッズは、熱が冷めた後売ろうにも全く買い手がなく(中古ショップに持ち込んでも「これ、価格つきませんよ」と言われてしまったり)、前部ゴミになってしまったことに愕然としたものです。
このときのショックがきっかけで、「グッズなんて最終的にゴミにしかならんし、集めるだけ無駄なのでは」と僕は心のどこかで思うようになってしまいました。
グッズを買い、推しを応援することで楽しめたなら、最終的にグッズがゴミになってもいいのかもしれません。
そもそもオタクグッズに限らず、どんなに素晴らしいブランド物の服や高級車、素晴らしい建造物でも壊れてしまえばゴミになりますし、形ある限りはいずれゴミになる宿命は避けられないので、こんなことを考えてしまうこと自体が野暮なのかもしれません。
それでも僕は、「ゴミになるんなら最初から集めるだけ無駄」と思ってしまうと、グッズを買うのを素直に楽しめなくなりました。
オタクグッズを扱う中古ショップで、ガラクタのように乱雑に放置され、恐らくこの先誰からも手に取ってもらえないようなグッズの山々を見ていると、こういう不毛なグッズを売ることで成り立っているオタクの世界の闇を見てしまったようで、なんとも言えない気持ちになります。
オタクは結局カモにされてるだけとわかってしまった
全員が全員とは言いませんが、オタクは推しの為ならいくらでも金を注ぎこみます。
傍から見ればゴミみたいなグッズでも、推しを支える為と信じて盲目的に買い漁ります。
僕の集めていたフィギュアやグッズも、そういう趣味がない人からすれば気持ち悪いものにしか見えないでしょうし、現に知人に「俺に言わせればお前の集めてるフィギュアなんて全部ゴミだよ」と言われたこともあります。
当時はムカッとしましたが、そいつの言っていることはある意味正しかったのでしょう。
グッズに限らず、オタク向けの商売はオタクから搾り取る為に色々とえげつない方法を仕掛けてきます。
CDに握手券だったり映像ソフトにイベントの申し込み優先権みたいな特典をつけて購買意欲を煽ったり、スマホのゲームに美麗な絵と人気声優の声を充ててガチャに大量の金を注ぎこませたり……もうキリがありません。
そういえば少し前に、SEGAの取締役の名越洋さんが自社ゲームであるぷよぷよのeスポーツ選手に対して「チーズ牛丼食ってそう」というコメントをして炎上したという話がありましたが……当人にはどういう意図があったかわからないのでなんとも言えませんが、自社のユーザーに対して公の場で侮辱めいた発言が出てくるのを見て「オタクという消費者は提供者からはいいようにカモにされ、バカにされて当然の存在と思われてるのかなぁ」などと考えてしまいました(流石にこれは極論かもしれませんが)。

被害妄想と言われればそれまでですが、グッズを買い漁り、盲目的に消耗を続けているだけでは、一生カモにされてバカにされ続ける人生で終わってしまうような、そんな恐ろしい考えに至ってしまい、僕はグッズを買わなくなったのでした。
消費しなければ世界は回らない、だが俺には無理だった
オタクのくせにグッズを買うことやオタクのことを散々ディスりましたが、一方で僕はグッズを買い続けてくれるオタクの人達にはとても感謝しています。
グッズを買ったり消費する人がいないとオタク業界は成り立たないし、新作のアニメも特撮も作られません。
オタク業界に限ったことではありませんが、皆が皆僕みたいな斜めに構えて金を出さない人間になってしまえば、どんな素晴らしいコンテンツでもあっという間には潰れてしまうでしょう
お金を出してくれる人達がいるからこそオタク業界が潤い、それによって今の僕みたいな金を出さないオタクでもそのおこぼれを頂戴してオタク趣味を楽しませてもらうことができているのだから、お金を出してくれる人達には頭が上がりません。
むしろ僕みたいなオタクこそオタクの風上にもおけないクソかもしれません……だからオタクから脱落してしまったのでしょうが。
金を出さないのにオタクを続けていることに若干の後ろめたさを感じつつ、僕の代わりに最前線で戦い続けいる同志たちにささやかな敬意を払いつつ、脱落オタクとして、細々とオタク趣味を続けていこうと思います。