こんばんは、そしてはじめましての人ははじめまして。

 僕は子供の頃からアニメや特撮にどっぷり浸かっていた重度のオタクだったんですが、そんな僕も数年前から脱オタを決意し、そして数年がかりでどうにか脱オタに近づきつつあります。

 ただ、脱オタの為に色々と試行錯誤した結果、脱オタってやろうと思ってできるものじゃあないな……と感じるようになりました。

今回はそんな僕が脱オタを決意してから現在に至るまでの軌跡みたいなものを書いていこうと思います

 

人生初の脱オタを決意も、三カ月で挫折

 最初に脱オタを決意したのは今から約四年前でした。

 当時の僕は勤めていた会社をクビ同然で辞めてしまい、コンビニバイトをしながらその日暮らしに甘んじていたのですが、そんな状況でも僕はアニメや特撮にどっぷり浸かっており、わずかな給料もオタク趣味に費やすほどの重度のオタクでありました。

 身だしなみにはまるで気を使わず、興味があるのはアニメや特撮ばかりでそれ以外のことはまるで知らない、当時の僕はそんな典型的なキモオタで、当然彼女もおらず、知人や家族から白い目で見られていても気にも留めませんでしたが、そんな自分の姿をふと省みたとき「流石にこれ、ヤバいんじゃないか……」と、ようやく自分がいかにダメな人間だったかを自覚するに至りました。

 そして運よく建設会社に正社員として就職が決まり、これを機に僕はオタク趣味と決別し、生まれ変わることを決意したのです。

 脱オタを決意した僕は、それまで好きだったアニメや特撮を観るのを止め、集めていたフィギュアやプラモデルもまとめて処分し、美容室で髪を切り、眼鏡を止めてコンタクトを使い、服装も清潔感を意識したものにして、自分なりのやり方で脱オタを実行しました。

 趣味もオタク寄りだったものを一般人に寄せる為、休みの日はオシャレなカフェに行ったり、話題の恋愛映画を(一人で)観ていたりしていました。

 僕はかってのキモオタと決別できたということを実感するようになり、まるで生まれ変わったかのような万能感、そして世界がバラ色に見える程の感動を感じていたのですが……しばらくすると、内面は人間として対して成長していないのに、一般人やリア充のフリをして過ごしている自分の内と外の姿のズレに徐々に違和感を感じるようになり、それと同時に、決別したと思っていたオタク趣味への渇望を再び感じるようになったのです。

 そして就職してから三ケ月が経った頃、新しい現場へ配属された僕は、工事の着工初日に洒落にならないミスを犯して現場を速攻でクビになってしまい、「もう次はないと思えよ」と上司から早くも最後通告を出されてしまって、自分が実際は何も人間として変わってなかったという事実を突きつけられてしまいました。

 そして僕はまた、以前ほどではないにせよ、現実逃避でアニメや特撮に逃げ込み、身だしなみにも気を使わない、キモオタに戻ってしまったのでした。

借金してまでオタク趣味に傾倒する、異常な日々の行く末

 折角入社した建設会社でも早々に居場所をなくし、結局一年程度で「お前は全く戦力になってない」と上司から宣告され、クビ同然でまたしても逃げるように会社を辞めた僕は、深夜バイトで食いつなぐ日々を送っていました。

 この頃はアニメや特撮を観る機会自体は減っていたと思いますが、それでもやはりオタクを辞めることはできず、むしろ悪い方向に悪化していました。

 不規則な生活や仕事でストレスを感じる度に、僕は消費することでそのストレスを発散しようと、一体数万円もする玩具やフィギュアを買い漁る日々を送っていました。

 深夜バイトなら時給が上がっているとはいえ、社会保険も適用されていない人間がそんな生活をできる筈もなく、足りなくなったらクレジットカードのリボ払いを繰り返し、あまつさえ生活費の工面のためにサラ金から金を借りるという有様でした。

 借金をしてまで玩具やフィギュアを買い漁る、この異常さがご理解頂けるかと思います。

 現実から目を背け、玩具やフィギュアを買うことで得られる一時的な快楽を糧にそんな生活をダラダラ続けていた僕でしたが、二年前の春、そんな破滅的なオタク生活は終わりを告げました。

 家の家賃を二ヵ月滞納してしまったことで、管理会社から「これ以上支払いが遅れるならもう出てってもらいますよ」と通告されてしまったのです。 

 実際はすぐに出て行ってもらうと言われたわけではなく、分割で支払いに対応してもらうなど、管理会社にも手を打ってもらっていたのですが、貯金もまるでなかった僕は、その分割してもらった分さえ支払うことが困難な有様でした。

 こうなってしまってはもう玩具なんて買っていられず、手元にあった玩具やフィギュアは売れるものは全て処分、テレビ等の家電までリサイクルショップに売り払い、なんとか家を追い出されるのを回避したのでした。

「俺は一体、なにをやってたんだろう」というのが、当時28歳だった僕の思ったことでした。

 借金をしてまで玩具を買い漁るという浪費に走り、そうして集めたコレクションは一つも手元に残らず、ただただ金と時間を無駄にしただけだったのです。

 このときから僕は、オタク趣味に時間やお金を割くことに虚しさを感じ、オタク趣味そのものへの熱意も失っていったのです。

生活に困窮し、熱意を失い、オタクに飽き、「脱落」する

 それからというもの、オタク趣味に対する熱意はどんどん失せていきました……というよりも、オタク趣味どころじゃなかったというのが正しいところです。

 今は少しはマシになったとはいえ、当時の給料は総支給で14万程度、社会保険や税金、滞納していた家賃の分割払い、そしてオタク趣味のせいで作ってしまった借金のせいで、とてもじゃないけどお金が足りません。

 本業の他に土日にバイトを掛け持ちしてどうにかやりくりしていましたが、そんな状況でオタク趣味に金なんて使っていられるワケがなく、必然的にオタク趣味に費やすお金は減っていきました。

 たとえ魅力的な玩具やフィギュアを見つけても「買ったとしてもしばらくしたらどうせ金欠になって手放さなきゃいけなくなるし、それじゃ最初から買う意味なんてないよなあ……」と考えるようになり、ネガティブ気味ではありますが物欲はどんどんなくなっていきました。

 そうした生活を続けていると、あれだけ好きだったアニメや特撮に対しても「これ観てても俺の人生なんもよくならないじゃん……」と虚無感のようなものを感じるようになり、観る頻度も減っていきました。

 一方でこれまでオタク趣味に割いていた時間を使い、筋トレなど自分の容姿を磨くことや現実でのバスケなどのスポーツをやってオタク趣味以外での人付き合いを持ったことで、自分に投資することの重要さを理解するようになりました。

 ここに来て僕はオタク趣味に対する熱意を失い、オタク趣味に飽き、そしてオタクの道から「脱落」しつつあることに気づきました。

 別に脱オタしようと思っていなかったのに、いつの間にかかって求めた脱オタに近づきつつあったのですが、脱オタとはオタクを脱するのではなく、オタクという生き方ができなくなり「脱落」することだったのだと感じたのです。

それでも僕は死ぬまでオタクだろうと思う

 オタクから「脱落」してしまった僕ですが、実際はそれでオタク趣味をきっぱり辞められたかと思うとそんなことはありません。

 観る頻度は減ったもののアニメや特撮は今でも観てますし、「鬼滅の刃」には単行本を電子書籍で全巻大人買いしてしまう程ドはまりしました。

 玩具やフィギュアなどは今でも買ってはいますが、以前と比べれば「これは本当に買うべきか?」と値段と内容をよく吟味した上で選ぶようになり、バカみたいに浪費していた以前に比べればオタク趣味に対する出費はかなり減ったと思います。

 図書館でライトノベルを借りて読んだりすることもありますし、拙い内容ですが小説を書いたりするなどの創作活動もやっていたりします。

 盲目的にオタク趣味に時間やお金を費やすのではなく、自分の好きなことをよく見極め、適切な距離を取りつつオタク趣味と付き合えるようになった、という感じでしょうか。

 どれだけ年を重ねたとしても、僕の人生にはオタク趣味は形を変え、何らかの形で死ぬまで関わり続けるのでしょう。

 オタク趣味だけに傾倒するのではなく、かといってオタクである自分を否定して無理矢理オタクをやめようとするのでもない、オタク趣味と適切な距離を知り、上手にオタク趣味と付き合っていくことが一番の幸せなのではないかと思います。

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